電車の発車時間が近づくと駅員が切符鋏をカチカチと鳴らしながら改札口に立つ。
窓口で買った切符を差し出すと目にも止まらぬ速さと小気味良いリズムで切符に鋏を入れてくれる。
さながら職人技だ。
子供の頃,この早技に憧れおもちゃの切符鋏で練習したことがあった。
当時はおもちゃ屋に「切符鋏」が売られていた。
いくら練習しても駅員の技に追いつくことは出来なかったことを覚えている。
技術の発達と人件費削減の流れの中で,職人達は姿を消した。
バスは「ワンマンカー」になり,改札は「自動改札」になった。
全く人と接することなく日本中どこまででも行くことが出来る時代になった。